別々の花
いつまでも繋がれていると信じていた
二人の手
(其れは家族か恋人か或は双子か)
降り注ぐ星のような赤い血
止まることを知らずに流れて
その片割れを奪う
語らずとも分かり合っていた
御揃いの漆黒の花を髪に
髪の長さも揃えて 手を繋いだ
誰が見ても 二人は鏡のように
同じ
どちらが消えても寂しくないように
記憶に残るようにと 笑い合った
自分ではない自分でいたいが故に同じになった
その悲しさを埋め合うためにお互いになった
今日で鏡もおしまい
独りは「死ぬんだね」と笑い
独りは「死なないで」と嘆く
時々忌まわしいと思うこともあった
君が自分でいる限り 自分が誰だかわからなくなる、と
それでも慣れたら自由だった
皆 自分が誰だか分かっていないのだから
或る時は君と名乗り 或る時は自分を名乗る
静かに呼吸をやめる血塗れた君
この手が離されるときがくるなんて思っていなかった
自分のない自分を誰が愛してくれようか
君の花は紅に染まり
初めて別れた 自分の漆黒 君の真紅
2007.08.20 アヤメ