「好きよ」
「ありがとう」
「ねえ、私のこと」
「好きだよ」
もう何回繰り返しただろうか。今日だけでも数えられない。
月が見える。僕らは太陽のある時間から囁きあっていた気がする。
同じことばかり。呪文のような愛の言葉。
「このまま一つになれたら良いのに」
「ははっ、そんなの無理だよ。でも一緒にいることはできるさ」
真面目な顔で呟くからうまく笑い飛ばすことができなくて苦笑した。
「そしたら、貴方は私を忘れないのにね」
「忘れないよ」
「本当?」
「本当さ」
君は少し笑って僕の手を握った。
例えこの手の体温が離れてしまってもそんな声で、表情で、その笑顔で
名前を何度も何度も呼んで好きだというのだから忘れられるわけがない。
いっそ忘れてしまえたらどれだけ楽なんだろう。
でも出逢わなければ良かった、なんて死んでも思わない。
「ねえ…」
「なんだい?」
「好きよ」
沈んでいく記憶
君の愛が永遠なら僕はこの世界すら捨てられるのに