「春ってのはどうもいけないわ。平凡なものすら美化しちゃう」
この女はいきなり何を言い出すかと思えば…。
その話の『美化』って、『自分は美しい前提』の話してますよねコレ。
「それでさあ、あの人も連れていかれちゃったのよ。春風にね」
「はあ…そりゃあお気の毒に」
「何よアンタに何が分かるってのよ!」
えー!!口利いたらこれだよ。何も言わなくても怒るくせに。
あーあ、似合わず目に涙までためちゃって。
「なんだか人を見る目がなかった自分が嫌になる」
「1度や2度の失恋ぐらいで喚くな」
軽く頭をポンポンと叩いてやると何かが切れたように泣き出す。
珍しいこともあるもんだ。いや、本当に。
普段こんな子供扱いしてちゃ俺もう生きてないだろうなあ。
棄てる神あれば拾う神あり
意味は違うけどさ、俺が拾ってやりたいつっーの。