この桜をあの人は見ただろうか。今年も立派だよ。
あの太陽をあの人も見ただろうか。煌いているよ。
秋に舞う葉をあの人は心にとめただろうか。美しいよ。
冷たい風にあの人は風邪ひいてないだろうか。元気かい?


そしてまた季節は戻ってくる。この桜の木を墓場にしても十分眠れる。
ああ馬鹿馬鹿しい。男に捨てられて死のうだなんて。
分かりきってたことよ、あの人に捨てられるなんて。
そうよそうよ。だって私を選んだときに誰かが泣いていたんだから。
思えばあんな小せェ男にくれてやる程この命は安かァない。
守ってやるから、の言葉に女は弱いかた多用すりゃイチコロですって?
お生憎様、私は守ってもらう一生なんかまっぴら御免よ。
それじゃ何すりゃ良いかって?
ただ私を愛してくれりゃそれだけで良かったんだよ。
届いてるかい?届いてるかい?




逃げる男と追う女



そりゃ逃げ切るより探すほうが簡単だろうね