灰になれど



裾をぎゅっと握ると鬱陶しそうに悪そうに貴方は顔だけこちらを向ける。
「今回は本当に危ないンですよ」
知ってます。知ってます。
何度もお聞きしました。そのお言葉。
「……連れて行って下さい」
「だから…」
その後の言葉は紡がず貴方はため息をつく。
「待ってて下さいませんかねぇ?」
優しい声でなだめる様に言う。
「嫌です嫌です」
ただの駄々っ子ね、これじゃ。
でも悪い予感がするんです。この手を離せば温もりが冷えていく気がするんです。
それでも貴方はこの手を振り払って軽く笑って見せると背中を向けた。
私は私の使い慣れない愛しの刀を手にとって走る。
すると貴方は驚いた顔をして、困りましたねぇ、と呟いた。



「……死んだら天国に行けるかしら?」
「物騒な話はやめてくれませんか?」
「ごめんなさい。でもね、天国になら行きたいです」
「……行けやしませんよ。今から人殺しに行くんですから」
「そうね人殺しが天国だなんて行けないかな…」
「地獄、もしくはこンの地べたで灰になるだけでさァ」
「灰ならば私は風に舞って見せますよ!」
「いンや、アンタの灰は俺が拾いますよ」






灰になれど貴方の温度を感じることができるとはなんて幸せ!